beautiful day

こんにちわ、吹田市岸辺・健都の心療内科・精神科の「むらかみクリニック」のブログです。今日は5月頃に上映していた「beautiful day」の話です。主要な登場人物は2人で、一人は元軍人のジョー、過去のトラウマが原因で希死念慮やフラッシュバックに苦しんでいますが、どんなトラウマかは最後まで過去は語られません。もう一人は上院議員の娘ニーナ、物語の終盤で父親より政治的に立場が上の知事から性的虐待を受けていることが明らかになります。ジョーが希死念慮を振り切って知事の別邸にさらわれたニーナを救いに行くのですが救えません。すでにニーナ自身の手で知事を殺していました。物語の最後はレストランで向かい合うニーナとジョー、ジョーは相変わらず希死念慮に苦しんでいます。そこでニーナが'let's go out,it's a beautiful day’と言って映画終了です。希死念慮は相変わらずですが希望を感じる最後でした。
「羊たちの沈黙」と対比させると面白いと思いました。元精神科医のレクターと主人公クラリスのまるで精神分析のようなやりとり、その中でクラリスがトラウマによって子羊の悲鳴が聴こえることがあることが明らかになります。そのトラウマというのが、10歳の時に父親が死んで母方のいとこ夫婦に牧場にいたときに、ある朝まだ暗いうちに羊が屠殺される鳴き声で目を覚まし、子羊を逃がそうとして檻を開けるが羊が逃げようとせず、それでも一頭だけ抱いて逃げるが数キロ逃げた先で保安官に捕まり、牧場主である母のいとこ夫婦に怒られて施設に送られたというものでした。最後は拉致された被害者を救い出したクラリスに脱走したレクターから電話がかかってきて、「クラリス、子羊の悲鳴はやんだか」と尋ねられます。
ほぼ30年の時差のある2つの映画ですが、トラウマの心理療法の変化が垣間見られると思います。

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