こんにちわ、吹田市岸部・健都の心療内科・精神科の「むらかみクリニック」のブログです。7月6日に松本智津夫死刑囚の刑が執行されたというニュースが流れました。松本智津夫氏には精神疾患のため裁判に耐えられないという説がありました。具体的には、2006年頃の状態で、失禁のためオムツを使用していても布団を汚してしまい、精神科医・小説家の加賀乙彦氏が接見した際も何を話しかけても無反応で、ぶつぶつと何やらつぶやいているような状態で、拘禁反応による昏迷状態にあり治療が必要であると言われていました(加賀氏の「悪魔のささやき」もご参照ください)。精神医学大辞典によると、拘禁反応というのは拘束された状況下でおきる独特の異常な反応のことで、その中でも、一過性のもうろう状態、幻覚、痛覚の脱失ないしは過敏、的外れ応答などで特徴づけられるガンゼル症候群が有名です。昏迷というのは、外界は認知されているのに、これに対応しようとする意志が強く抑制されていて、精神的にも身体的にも反応することができない状態をいいます。ちなみに高等裁判所の依頼で鑑定を行った西山詮氏の判断は、「拘禁反応はあるが、拘禁精神病の水準には達しておらず訴訟を続ける能力を失っていない」というものだったようです。いずれにしろオウム事件に関して首謀者が何も語らずに終わってしまったことを残念に思います。

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